2008年6月8日

長野県栂池高原−全日本実業団個人TTロード選手権

126位:59"58'7 (予選落ち)

ヒルクラは辛いから嫌い。休むことなく大きな負荷をかけ続けなくてはいけないし、私程度の力では仮に集団走行になっても空気抵抗を気にするほどの速度は出ない。それに一緒に走る人との駆け引きを感じる余裕もない。ひたすら淡々と気持ちを切らさずに走るのみでつまらない。
とここまで辛い理由を書いたのにヒルクラレースに参加したのは、実業団登録した今の自分と以前の自分との力の違いを認識したかった、という理由が一番で、次に他に参加している実業団選手と自分の差を客観的に知るためでした。
このレースの為に1ヶ月ほど前から坂強化月間と称してヤビツや奥多摩を中心に峠を走ったのですが、登坂が絶好調だった当時に19Tでシッティングのまま走れた坂も今では23Tで立ち漕ぎで走るのがやっと。坂を走るときに必要な絶対的なパワーが確実に衰えていることに愕然となってしまう始末です。その事実がわかってから筋トレの回数を増やしたけど、付け焼刃な対処であることは否めずに当日を迎えることになってしまいました。

今回は縁あってご近所の谷口さん@ラバネロと一緒に移動することになり、彼の紹介で私もオマケでラバネロチームと同じ宿にお世話になることになりました。正直なところ、私のようなホビーレーサーにとっては雲の上の存在であるトップ実業団チームとわずかの間でも一緒になるのは気後れするのと共に興味も湧きます。

栂池高原近くの待ち合わせ場所に先着していたラバネロ平塚親子と後から来た本隊にいた高村監督に挨拶をして、彼らが昼食を取る間に私は白馬大町のジャスコで仕入れた弁当を食べてそのまま昼寝。気持ち良い日差しの中、良い睡眠が取れました(爆)。
すぐに宿に移動して彼らと一緒に試走に行きます。明日のレースで着るスキップジャージが汗で濡れるのが嫌だったので、ラバネロジャージの色に合わせて通勤用の上下とも青色をベースとした装束で出発。試走中は現在、絶賛売出し中の平塚、小段の両若者が最初から最後までしゃべりっぱなし。それに他のチーム員が所々茶々を入れながら和気あいあいでトップ実業団チームの厳しさは感じられません。そして優勝候補の鎌田さんは横で若者たちがしゃべる横で黙々とペースを作る感じ。彼は非常に物静かな人で同宿だった2日間でしゃべる姿をほとんど見なかったのですが、エースとしてチーム員各位の信頼を勝ち得ているのがよくわかります。
岩岳方面に下ってから小谷駅からコースをゆっくりとゴール地点まで走ったのですが、標高が上がるにつれてぐんぐん下がる気温にびびりまくり。昼の小春陽気が嘘のように上空には雲が被さって、というよりも途中から雲の中に突入して霧雨が体に当たります。寒くて走れないほどではなかったのですが、残り5Km地点から路肩に残雪が現れ始め、ゴール地点では残雪の高さが1m以上もありますよ。腕、脚ウォーマー完備で助かりました。
下りでは途中にかかっていた雲が更に厚さを増したようで一部では視界が5m以下になるほどです。本番で寒いのは嫌だなあ。

宿に戻ったら既にチームスタッフの方が私の分も含めて受付を済ませてゼッケンと共に待っていて注意点などの連絡を受けることが出来たし、外では監督が戻ってきたラバネロチーム員の洗車、整備、ホイール交換などの作業中 (さすがに私の自転車までは整備してくれませんでしたが)。実業団選手は何もしなくても明日の準備が整う手はずになっています。この辺りから至る所でトップ実業団チームのサポート力を目にすることになります。
夕食まで自由行動だったので、お風呂に入ってから試走で疲労した脚のセルフマッサージをしたり、その辺を軽く散歩したりしていたのですが、ふと宿のロビー?横のテーブルを見るとなぜか某実業団チームの監督と某選手が密談していましたよ。そういえば試走中もここでは書けない他チームの契約に関する話題もあったりして、来年に向けた移籍市場が既に動いていることも実感。今の不景気の中、様々なサポートを受ける替わりに今まで以上にレースで認められないと生き残れない実情をひしひしと感じます。
夕食では実業団選手とスタッフ/市民レース組は別テーブルでビールを飲んでいたけど、こちらは当然それもなし。その代わりにご飯をたらふく平らげ、翌日のレースに向けて監督の愛の檄注意点を聞いた後に翌日の買出しに出て宿に戻ったらもう21時。少しテレビを見て22時には就寝でした。

6時の朝食にあわせて5時40分に起床して自転車の様子を見に行ったら、既にスタッフの方がフルクラムのホイールを持って作業しています・・・ってあれれ?ラバネロがホイール供給を受けているのはEASTONのはず。慌てて外に出ると、なんと手にしているのは私のリアホイールです。ラバネロ各位の自転車を準備する時に私のタイヤがパンクしていたので修理していたとのこと。交換チューブもラバネロ所有の予備から使用して頂き、ありがとうございました (後でチューブ代金は支払いましたよ)。昨日の試走時にはなんともなかったのに、どうしちゃったんでしょう。
朝食を食べてから、スタート地点下の小谷駅駐車場にてアップ用のローラーを持っていく、との事だったのでここでも便乗して私の固定ローラーも運んで頂く。ありがたいことです。

7時半過ぎに出走サインを済ませて8時前に駐車場でローラーでアップを開始です。たまたま私のローラーが他のローラーの真ん中になってしまったので、周りにラバネロの方がいる中心に私がいる形になってしまって、かなり恥ずかしかったのですが、一応集中して珍しく40分もローラーで漕いで十分に汗が出てきた時点でアップを終了。荷物車に預ける袋に入れてあったタオルで汗を拭いてスタート地点へ。そういえば、天気は朝から晴れて昼頃までは気温が上昇する一方で腕、脚ウォーマー無しでも問題なく走れました。さすがにゴール地点近くではかなり気温が下がったので朝に心配して塗ったホットバルム赤の1番が役立ちましたが、レース序盤までは少し暑かったですね。梅雨に入った時期のレースにしては天気に恵まれたといっても良いでしょう。

荷物を預けてから近くにいた知り合いなどと話してから2組目のスタートラインに並びます。1組目はBR-1及び昨年の予選通過者で2、3組はそれ以外のBR-2/3混在スタート。昨年の予選通過ラインは57分ちょうどだったけど、今年は秋田で行われる全日本TTと日程が重なったこともあって面子は例年より薄く多少は通過ラインが落ちる可能性があるけど、それでも57分台が必要でしょう。でも今年の調子では60分切りがやっとという状態ですが、部外者の私にも色々とサポートしてくれたラバネロの方々のためにも頑張りたいものです。

ここまで2800文字も費やしてようやくレースレポートの開始です(苦笑)。

1組がスタートした3分後に私のいる2組目がスタート。序盤に続く10%坂で無理しすぎないように入って温泉街を抜けてから垂れずに走るのが目標。最初は先頭集団のお尻で走れたものの、10%坂の最後のほうで千切れてしまう。やはり今の調子ではあの速度にはついていけません(泣)。温泉街から周りにいた5人くらいでペースアップするも、観客から「前と40秒差」との声がかかる。ここまでAT値(169bpm)をわずかに上回る心拍だったので、集団後方で少し息を整えた後は166-168bpmを維持するように走るように心がけます。午後の決勝TTスタート地点を過ぎた辺りから私が集団を引く形になっても構わず21/23Tで走っていたら、次々と前の集団から千切れてきた人を抜き始めると同時にいつの間にか後ろにいた人たちは減っていたらしい。最後まで1人が中間点過ぎまで何も言わずに黙ってついてきたけど、彼も残り5Km地点ではいなくなっていた。
ここまで書くとなんだか凄そうですが、実際には中間点通過が28分30秒過ぎ。市民レースで参加した以前の経験からすると平坦区間がある前半よりも7/8%前後の勾配が続く後半のほうがタイムが悪いので、このままでは予選通過はおろか、最低目標の60分切りも危ない。しかし、この辺りから徐々に脚に力が入らなくなってくるし、昨日の試走時にも気になった残り4Km地点前後の若干勾配がきつい区間で更にペースダウンしてしまう。そして速度が違う3分先にスタートした1組目の千切れ組以外の同じ組の人は見えなくなっていて前に目標が無くなってきた事も影響したのかも。
それでも何とか心拍計を睨みながら走っていた残り1Kmの看板を過ぎた辺りで3分後にスタートした3組目の先頭集団がやってきた。しかし彼らとはさほど大きな速度差がなかったので、何とか喰らいつくべく私も追いかけます。最後の九十九折が見えた時点で時計は59分を越えた辺りで、最後の踏ん張りで60分切りを実現できそうなギリギリの線か。
私を抜いた3組の先頭集団の少し後でダンシングでゴール地点を通過、自分の時計で59分58秒ととりあえず目標は達成。うむむ、やはりヒルクラはきついですー。

すぐに下りの準備をして市民クラスの方が走る横を慎重にゴンドラまで。ここで一緒にゴンドラに乗ったのがたまたますぐ後ろでゴンドラ待ちをしていた日本チャンプの野寺選手。汗をかいた日本チャンプジャージはゴール地点でスタッフに預けたようで、通常のスキルシマノジャージでしたが、日本ロード界の頂点に立つトップ選手にして日本人現役で唯一のジロ・デ・イタリア完走者と2人きりで過ごすのは非常に緊張しますよ。
緊張の中で聞いた平地と登りのペダリングとポジションの関係についての話は (まだ実戦で試していないから何とも言えないけど) 最近感じていた疑問がかなり解消した気がします。でも、その詳しい内容は秘密っす(笑)。緊張しつつも短い時間の中で興味深い話を聞けたりして有意義だったけど、もっとシマノチーム内の人間関係等についても突っ込んで聞いてみればよかったぜ(笑)。

宿に戻ってお風呂に入ってから多少の補給食を口にしてから大会本部のある体育館にて結果を見ると・・・。
予選通過ラインは予想通りに昨年より遅くなって58分。そして私の公式計時でも59分台が確定でした。順位は126位とこちらは想像よりも上だったけど、どうせ101位以下は何位でも同じ。これが今の実力を如実に示しています。
ラバネロでは5位通過の鎌田さんを始め、全部で6名?が予選通過。同乗の谷口さんも無事に予選通過。さすがでございます。なので、決勝TTを応援に自転車の乗って行ったのですが・・・スタート地点に近づいた頃に右手をハンドルバー上に移動した瞬間に小指に刺すような痛みが。慌てて指を見ると第一関節近くをハチ?に刺された?ようです。自転車に乗りながらすぐに患部を吸ってスタート地点横に既に移動していたラバネロ車で応急処置を受ける始末です。レースが終わってもお世話になりっぱなしですね>私。
最終的には鎌田さんが総合で3位と表彰台をゲット。本人的には優勝を狙っていたはずなので悔しいでしょうけど、素晴らしい成績です。谷口さんも2本目で大きく順位を上げていました。強豪チームの底力を見たような気がします。

予選2組目で3位だった谷口さんの賞品を受け取って大会本部前の駐車場で最後のミーティングをやっているラバネロの皆様を横目に我々は先に栂池を後にし、恒例の小仏トンネル前から始まる渋滞を避けて雛鶴峠を抜けるルートで帰着しました。
往復の燃費はなんと14.1Km/リットルと4月の群馬レースに続いて10年物の車にしては非常に優秀でした。



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